江戸川乱歩さん、人間椅子はちょっと変態すぎやしませんか?(Kindleで無料)

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もしいまあなたが座っている椅子に人が入ってたとしたらどう思いますか? 考えただけで気色わるいですね。鳥肌たちます。

1925年に発表された江戸川乱歩の「人間椅子」はそんな変態な話。Kindleで無料だったので読んでみました。

Kindleで人間椅子

人間椅子のあらすじ

外交官を夫に持つ閨秀作家(女性作家のこと)の佳子は、毎朝夫の登庁を見送った後、書斎に籠もり、ファンレターに目を通してから創作にとりかかることが日課だった。ある日、「私」から1通の手紙が届く。それは「私」の犯した罪悪の告白だった。

椅子専門の家具職人である「私」は、容貌が醜いため周囲の人間から蔑まされ、貧しいためにその悔しさを紛らわす術も持たなかった。しかし、私は職人としての腕はそれなりに評価されており、度々凝った椅子の注文が舞い込んだ。

ある日、外国人専門のホテルに納品される椅子を製作していた私は出来心から、椅子の中に人間が一人入り込める空洞を作り、水と食料と共にその中に入り込んだ。自分が椅子の中に入り込んだ時に、その椅子はホテルに納品されてしまう。それ以来、私は昼は椅子の中にこもり、夜になると椅子から這い出て、盗みを働くようになった。盗みで一財産出来たころ、私は外国人の少女が自分の上に座る感触を革ごしに感じることに喜びを感じた。それ以来、私は女性の感触を革ごしに感じることに夢中になった。やがて、私は言葉がわからない外国人ではなく日本人の女性の感触を感じたいと願うようになった。

私がそんな願いを持つようになったころ、ホテルの持ち主が変わり、私が潜んでいた椅子は古道具屋に売られてしまう。古道具屋で私の椅子を買い求めていたのは日本人の官吏だった。私は念願の日本人の女性の感触を得られると胸を躍らせるが…。

Wikipediaより

人間椅子というタイトルの通り、椅子に入り込んだというか、ほぼ椅子になった人間の話です。おそろしいことを考えるものです。

椅子好きすぎて椅子になる

なにかが好きすぎてそのものになりたくなるっていうのはちょっとわかる気がする。

私の作った椅子丈けが、今の夢の名残りの様に、そこに、ポツネンと残って居ります。でも、その椅子は、やがて、いずことも知れぬ、私達のとは全く別な世界へ、運び去られて了うのではありませんか。  私は、そうして、一つ一つ椅子を仕上げる度毎に、いい知れぬ味気なさに襲われるのでございます。その、何とも形容の出来ない、いやあな、いやあな心持は、月日が経つに従って、段々、私には堪え切れないものになって参りました。

苦心を重ねて作り上げた椅子は、必ず誰かの手に渡って、自分のもとには残らない。たしかに苦しい。一方ブログってがんばって書いたものがどんどんストックされて、いつでも自分も見られるのっていいことだなあと。振り返れるし、その時どんなこと考えてたかとか、自分の成長がわかるから。

この椅子職人は、そういう子供のように大切に育てたものを失う寂しさでおかしくなったんでしょう。椅子好きすぎて、もう自分が椅子になっちゃえみたいな。

この一節が変態すぎる

誰も、私がそこにいることを――彼等が柔いクッションだと信じ切っているものが、実は私という人間の、血の通った太腿であるということを――少しも悟らなかったのでございます。

誰も気づいてないけど、自分だけが知ってるっていう背徳感というか、罪悪感のようなもの、変態すぎる。この部分が一番この作品で記憶にのこり、身震いしましたね。

なにか人間の恐ろしい部分を見たような。でもこういう傾向って多分誰にもあるんじゃないですかね。一種の優越感を覚えるのかも。

まだまだある

普通の場合は、主として容貌の美醜によって、それを批判するのでありましょうが、この椅子の中の世界では、そんなものは、まるで問題外なのでございます。そこには、まる裸の肉体と、声音と、匂とがあるばかりでございます。

其私が、今、身も知らぬ異国の乙女と、同じ部屋に、同じ椅子に、それどころではありません、薄い鞣皮一重を隔てて肌のぬくみを感じる程も、密接しているのでございます。それにも拘らず、彼女は何の不安もなく、全身の重みを私の上に委ねて、見る人のない気安さに、勝手気儘な姿体を致して居ります。私は椅子の中で、彼女を抱きしめる真似をすることも出来ます。皮のうしろから、その豊な首筋に接吻することも出来ます。その外、どんなことをしようと、自由自在なのでございます。

文章がすごすぎて言葉も出ないですね。そしてやはり変態すぎます。

「どんなことをしようと、自由自在なのでございます」ってもはや神のような存在になってしまってます。他者を100%コントロールできるようになるって、生殺与奪権を得たような感じで、人間は興奮をおぼえてしまうのでしょうか・・・

 

こんな感じで、終始「変態!」と叫びたくなる作品です。衝撃のラストも見逃せません。



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