【書評】竹内明「スリーパー浸透工作員」のページをめくる手の震えが止まらない
こんにちは、るきま(@rukimahima)です。
ぶるぶるぶる。
こんなこわい小説はじめてです。
まさかの夜寝られなくレベル。
小説なのになぜか予告編が
この小説の作者はTBS記者の竹内明氏。
TBSということで身構える人も多いでしょう。
そりゃサ「ンデーモーニング」や「ひるおび!」など北朝鮮を応援するかのような番組が多い局ですから。
しかし、竹内氏は北朝鮮工作員の暗躍に警鐘を鳴らしています。
大事なことを忘れています。北朝鮮のスリーパー工作員はすでに日本に潜入し、一般市民に溶け込んで生活しています。無警戒な日本は工作員にとって「天国のような国」なんだそうです。脅威はミサイルだけではないのです。そんな事実を小説にしました。https://t.co/zRC6DWb4f0
— 竹内明 Mei Takeuchi (@nygangsta0327) September 26, 2017
ぼくが竹内氏を知ったのは「現代メディア」というウェブメディアで公安や工作員に関する連載記事を読んだのがきっかけです。
元公安の人や元工作員に取材をしていて、なかなか生々しくて「こんなことが現実にあったのね」と思うことばかり。
今回の小説を読む前に、現代メディアの記事にも目を通しておくと、作品を倍楽しむことができるでしょう。
今回の「スリーパー 浸透工作員 警視庁公安部外事二課 ソトニ」という小説。
筒見慶太郎という元公安のエースが主人公なのですが、この人が渋い。
この筒見は他のシリーズにも出てくるようですが、今回の「スリーパー浸透工作員」からいきなり読んでも全く問題ありませんでした。
そして今回はなぜか小説なのに「予告編」が作られてました。
これでだいたい雰囲気わかるかと。
あなたのとなりにいる人も工作員かもしれない
この小説はとにかくこわかった。
それはなぜかというと、いろいろとリアルだから。
実際に北の工作員が行っているいろいろな手口が書かれています。
それらがなんとも不気味で、恐怖心をかりたてる。
例えば「背乗り」。
工作員が日本人になりすますやり口です。
戸籍から仕事からどう考えても普通の日本人だと思ってたら実は・・・
というなんともおそろしいやつです。
え、もしかして隣の人もとか考えちゃいました。
まさに日本社会のいたるところに浸透しているのではないかと考えると、大変な危機感を覚えます。
竹内氏はまさにこういったことに問題意識を持って、このような小説を書いたのではないかと。
普通にサスペンス小説としても楽しめます
この小説はそのように、日本の危機を感じるのに役立つだけでなく、普通に楽しめます。
全く展開読めませんでした。
驚きの連続。
だまされまくり。
まさに諜報活動、防諜活動は騙し合い、裏の読み合いなんだなと。
心理描写も興味深い。
工作員や公安というと、血も涙もないないような冷徹な感じをイメージします。
しかし、意外と葛藤があったり人間臭いところがあったり。
それにしてもこんな世界があったんだなと、驚かされます。
見えないところで日本のために人生や命をかけて戦ってくれている人がいるのです。
そしてまさに北の脅威が高まるこの時代において、読んでいただきたい1冊です。