お目当ての本を本屋で買う人の心理
欲しい本があれば、とりあえずAmazonで買うのがデフォルト。
数回のクリックだけで、翌日には本が届く。
なんと楽な世の中だろう。
さらに言えばKindleなら瞬時にダウンロードして読むこともできる。
しかし世の中にはAmazonで買えるにも関わらず、本屋でわざわざ買う人も一定数いるようで。
確かに、特にこれという目的の本が無い時に、ふらふらと本屋を訪れることはある。
一生手元にキープしておきたいような素晴らしい本との偶然の出会いは、本屋の方が起きやすい。
Amazonでもおススメ機能で色々サジェストはされるものの、過去の購買に基づいているので、自分の価値観を広げてくれるようなものとは出会いにくい。
本屋でなんとなく手に取った本というのは、何ものにも変えがたいものとなる時がある。
ただやはり、買う本が決まっている場合は、Amazonが圧倒的に楽である。
まず移動する必要がない、
店内で血眼になって探し求める必要もない。
そろそろ店員に聞くべきかなどと、変な汗をかくこともない。
それなのに本屋でわざわざお目当ての本を探す人がいるのはなぜなのか?
それはおそらく、Amazonでは「簡単に手に入りすぎる」からだ。
Amazonなんかなかった時代は、欲しい本を探して何店舗も本屋をはしごすることもあった。
そして、店頭でお目当ての本を見つけたときの嬉しさといったら、宝物を探し当てたような感覚だった。
Amazonだと数秒のうちに、手や指を少し動かすだけで買えてしまう。
これではあまりに簡単過ぎてかつてのような宝物を探すかのような感動がないのである。
だから未だに、Amazonという便利なものがあるのにわざわざ本屋でお目当ての本を探しに行く人がいるのだ。
あまりにも簡単に手に入りすぎると感動もありがたさもない。
わざわざ自分の足で時間をかけてでもでも本屋で買う。
これはもはやただの購買行動ではなく、これ自体がひとつの体験となっているのかもしれない。
Amazon に限らず今後、AIなどでいろんなものが自動化されて便利になっていく世の中。
それの反動でこれからどんどん「面倒くさいもの」が価値を持っていくのだろう。
ある意味、人は自然は過去に帰るのだ。
Photo by Stanislav Kondratiev on Unsplash